
仮想通貨の初心者は、ビットコインよりも安い通貨で一攫千金を狙いがちです。しかし、仮想通貨の「1コインの価格」と「時価総額」の関係性について、ちゃんと理解しているでしょうか?
この関係性は、必ず押さえておくべきポイントです。単に「価格が安い」という理由だけで買っていると、思わぬ損をする可能性がありますよ。
目次
1コインあたりの価格はこんなにも違う
日本でも人気のある4つの仮想通貨の価格を比較してみます。
通貨(コイン) | 価格(円建て)※おおよそ |
ビットコイン(bitcoin) | 820,000円 |
ビットコインキャッシュ(BitcoinCash) | 110,000円 |
リップル(Ripple) | 68円 |
ネム(NEM) | 29円 |
こんなにも違うんです。(2018/5/26現在)
・・・いや、これはあり得ません
「ビットコインを超えるなんてあり得ない」とか、「そこまでの将来性がない」とか、そういう理由ではないんです。(ファンの人は怒らないでね)
仮想通貨は、単純に1コインあたりでの「価格」では比較できません。それはそれぞれの通貨における「発行量」が全然違うからなのです。
コインによって発行量はバラバラ

それぞれの通貨には、「発行量」というものが存在します。すでに市場に出回っている通貨の総量です。
通貨(コイン) | 発行量(現在の流通量)※おおよそ |
ビットコイン(bitcoin) | 1,700万枚 ※単位:BTC |
ビットコインキャッシュ(BitcoinCash) | 1,700万枚 ※単位:BCH |
リップル(Ripple) | 290億枚 ※単位:XRP |
ネム(NEM) | 90億枚 ※単位:XEM |
発行量も通貨によってこんなにも違うんです。
流通量が少ないほうが、希少価値があって1コインあたりの価格は高価になりやすいですよね。
ちなみに、ビットコインの発行上限は、2,100万BTCです。今後は約4年に1回のペースでマイニングで新規発行される量が半減していきます。2032年には約99%、2140年には全てのビットコインが市場に出回ります。

マイニングの意味がわからない人は、「ブロックチェーンとは?いまさら聞けない3つの特徴と仕組み」で、ブロックチェーンの基礎から復習しておきましょう!

そしてビットコインは、発行量も発行時期も全てプログラミングされ、発行者も管理者もいません。
円なら日本銀行など、法定通貨は各国の中央銀行が発行していますよね。ビットコインは、国の金融政策に左右されることなく、量が増えすぎて価値が下がるといった心配はありません。
「時価総額」でコインの規模は決まる
「発行量」×「1コインあたりの価格」
=「時価総額」
「時価総額」が、その通貨の規模を示す指標です。単に1コインあたりの価格だけ比べても意味がありません。
上記の計算式から、時価総額を比較してみました。
通貨(コイン) | 時価総額(発行量×価格)※おおよそ |
ビットコイン(bitcoin) | 14兆円 (1700万BTC×82万円) |
ビットコインキャッシュ(BitcoinCash) | 1.9兆円 (1700万BCH×11万円) |
リップル(Ripple) | 2.6兆円 (390億XRP×68円) |
ネム(NEM) | 2600億円 (90億XEM×29円) |
リップルとビットコインキャッシュの比較が良い例です。BCHは、XRPの1,600倍(11万円÷68円)の価格ですが、時価総額はリップルの方が上ですよね。
上記はあくまで代表的な例です。
単純に基準となる通貨単位が違うものを、「価格が安いから買う」というのは、今後の値上がりを期待した投資判断にはなりません。
初心者がよく間違う、あるあるな「勘違い」です
時価総額ランキングは、コインマーケットキャップで確認することができます。「時価総額」や「値段」のところをポチっとすると並べ替えも可能です。
そして最近、「とても低い価格の草コイン」が話題になることがあります。大量の発行枚数で1コインあたり価格を超低価格にして割安感を出し、高騰を煽るやり方も目に付きます。こういうものには、手を出さない方が無難です。
草コインとは、海外でシットコイン(クソコイン)と言われていたのを、モナコインの伝道師でもある田中さんが「草コイン」と言い始めたのがキッカケで広まりました。何を解決するためでもない、目的もないコインが多く、限りなく詐欺に近いものも多数あります。
最近では、「時価総額の低いコイン」の意味として呼んでいる人もおり、定義があいまいになってきた印象です。
「ビットコインは高すぎるから買えない」も勘違い

「けどビットコインは高すぎるし、手が出せないよ~」って思ってる人は、ビットコインを買うには何十万円も必要だと思っていませんか?
国内の主要取引所における、ビットコインの最小取引単位です。
国内主要取引所 | BTC最低取引単位 | 取り扱い通貨 |
ビットフライヤー(bitFlyer) | 0.001 BTC | BTC、BCH、ETH、ETC、LTC、MONA、LSK |
ザイフ(Zaif) | 0.0001 BTC | BTC、BCH、ETH、XEM、MONA |
ビットバンク | 0.0001 BTC | BTC、BCH、ETH、ETC、XRP、LTC、MONA |
コインエクスチェンジ(QUOINEX) | 0.001 BTC | BTC、BCH、ETH、XRP、XEM、LTC、QASH |
GMOコイン | 0.0001 BTC | BTC、BCH、ETH、XRP、LTC |
ビットポイント(BITPoint) | 0.0001 BTC | BTC、BCH、ETH、XRP、LTC |
ビットトレード(BIT Trade) | 0.0001 BTC | BTC、BCH、ETH、XRP、LTC、MONA |
※全て金融庁の仮想通貨交換業者の認定を受けた取引所です
ちなみにビットコインはBTC(ビーティーシー)という単位が使われていますが、最小の単位はsatoshi(サトシ)です。0.00000001BTC(1satoshi)の小数点以下8桁まで分割することができます。
通貨の単位に日本人的な名前が使われてるって、ちょっと違和感ありますよね。笑
ビットコイン誕生の秘話に興味がある方は、「そのビットコインはどこへ?chainFlyerでブロックチェーン技術に触れる」の記事内でも紹介しています。是非ご覧ください。
けど・・・割安コインの方が買われやすい!?

とは言っても、安い価格帯の通貨の方が、なんとなく買いやすいですよね。
ぼくも通貨の価値は価格じゃないと頭ではわかっていますが、この気持ちは理解できます。笑
100万円が200万円になるより、1円が2円になる方が可能性が高く思えるんですよね。そんなこともあってか、割安コインに人気が集まる傾向はあります。
しかし、これは単なる数字のマジックです
そして実は、ビットコインには通貨単位が変わろうとする動きがあるんです。
通貨単位が「Bits」になってビットコインが1円に!?

現在ビットコインの通貨単位はBTC(ビーティーシー)が用いられていますが、これをBits(ビット)に変更しようとする動きがあります。
この案が採用されれば、1BTC=1,000,000 Bitsなので、ビットコイン(1Bits)が1円程度になります。つまり通貨の単位が、100万分の1になるということ。
これは、仮想通貨の「デノミネーション」です
デノミネーションとは、日本では「通貨単位を切り下げる」ことに使われることが多いです。ハイパーインフレが起こったジンバブエでは、2008年に100億分の1のデノミが実施されました。100億ジンバブエドルが、新1ジンバブエドルになったのです。 参考)Wikipedia デノミネーション
これも感じ方なんですが、ビットコインが「100万円」よりも「1円」の方が買いやすいですよね。この案が実現すれば、これまで「ビットコインは高すぎる」と拒絶反応を示していた人も、購入意欲がでるかもしれませんね。
当然ながら、単位がBitsなっても発行量が17兆Bitsとなるだけで、時価総額は変わりません。あなたがもっているビットコインの価値も変わりません。要は今の単位では使いにくいから、基準を変えるというだけです。
これも、単なる数字のマジックなんです
今後、仮想通貨の価値が上がり、取り扱いにくくなった通貨に「分割デノミブーム」がくるかもしれませんね。
まとめ:価格と時価総額の関係性
その通貨規模の指標は、「価格」ではなく「時価総額」で見るべきであり、必ず「発行量」とセットで考えましょう。
「発行量」×「1コインあたりの価格」
=「時価総額」
円とドルでもそうです。
1ドルあたり100円ちょっとですが、日本円の方がドルより「100倍の価値がある!」・・・とはならないですよね。単位の異なる数字の比較は何も意味がないのです。
ぼくは時価総額を参考にその通貨の将来性をイメージし、割安だと判断した場合に投資しています。
まずは、「ビットコインは金!共通する4つの特徴と最大の魅力「価値の保存」とは」の記事で、仮想通貨の王様・ビットコインの将来性をイメージしてみてください。

そしてビットコインの単位が変わるかもしれないという、面白い動きもあります。
もしこの案が通れば、「ビットコイン安いじゃん!」という勘違いが増えるはずです。その時は心理的な抵抗感がなくなって、新規参入者を呼び込むかもしれませんね。
それでは!